結論から言うと、旅ナカ対策とはインバウンド集客の伸びしろが最も大きい打ち手のひとつです。訪日外国人数は単月で過去最高を更新する一方、累計は前年割れという波があり、滞在中の検索・行動データを踏まえた施策が集客を左右します。本記事では観光庁データで見る訪日客数と消費動向の推移、人気の旅ナカ体験や地方周遊の事例、店舗・観光地が直面しやすい3つの課題、現地の検索データに基づく具体的な集客施策、さらにインバウンド集客サービスの選び方までを解説します。
「旅ナカ」とは?訪日外国人観光客数の推移から見る重要性
図: 訪日外客数の推移(2025年7月〜2026年7月)(出典: JNTO(日本政府観光局))
結論から言うと、「旅ナカ」とは訪日外国人が来日後、滞在中に行動・消費するフェーズを指します。訪日客数と旅行中の消費額がともに高水準で推移する今、旅ナカでの接点づくりが集客成果を左右する局面に入っています。
インバウンドマーケティングでは「旅マエ(訪日前の情報収集・予約)」「旅ナカ(滞在中の行動・消費)」「旅アト(帰国後のSNS発信・リピート)」の3フェーズで捉えるのが基本です。旅マエで自店を知らなかった観光客でも、旅ナカでの検索や口コミ経由で来店につながる余地がある点が、旅ナカ対策の特徴です。
観光庁データで見る訪日外国人数の推移と過去最高更新
日本政府観光局(JNTO)によると、2026年7月の訪日外客数は344万2,100人で、前年同月比0.1%増となり、7月として過去最高を更新しました。韓国、インドネシア、メキシコなど17市場が7月として過去最高を記録し、台湾は単月で初めて70万人を超えています。
一方で2026年1〜7月の累計は2,452万7,200人にとどまり、前年同期の2,495万5,693人を下回る1.7%減で推移しています。単月の過去最高更新と累計の伸び悩みが同時に起きているのが実態で、月・市場ごとの波を前提にした集客設計が欠かせません。
出典: JNTO(日本政府観光局)
インバウンド消費動向調査でわかる滞在日数と消費行動の変化
観光庁のインバウンド消費動向調査では、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円で、前年比16.4%増と暦年として過去最高を記録しました。直近の2026年4〜6月期も2兆5,096億円(前年同期比0.2%増)、一人当たり旅行支出は24.4万円(同3.3%増)と、単価の伸びが消費額を押し上げています。
費目別では宿泊費が36.6%、買物代が27.0%、飲食費が21.9%を占め、消費が宿泊・買物・飲食という旅ナカの主要接点に集中していることが分かります。回答者全体の平均泊数は9.5泊で、滞在中に複数の店舗・施設と接する機会があることもうかがえます。
こうした滞在日数・消費構造のデータは、旅ナカでの接点づくりが売上に直結しやすいことを裏付けています。自店がその接点に入れているかどうかを、まず現状データで確認することが対策の出発点です。
データで見る旅ナカの人気観光地・体験コンテンツ事例
旅ナカでは、行き先が決まった後も「その場所で何をするか」を現地で検索する動きが目立ちます。人気観光地の情報だけでなく、体験コンテンツや移動手段まで、滞在中の行動範囲を広げる検索行動が旅ナカの特徴です。
茶道体験や桜・撮影スポットなど人気の旅ナカ体験
旅ナカで検索されやすいのは、茶道体験や着物レンタル、桜の名所、撮影映えするスポットなど、その場でしか味わえない体験コンテンツです。訪日客はガイドブックの定番情報だけでなく、滞在中のリアルタイムな口コミや現地の検索結果から「今行ける」体験先を探しています。飲食や物販だけでなく体験コンテンツへの関心が高いのは、旅の思い出をSNSで共有したいというニーズと結びついているためです。自店の体験メニューが、こうした旅ナカの検索導線に乗っているかどうかは、集客を大きく左右します。
タクシー利用や札幌など地方都市への周遊拡大
旅ナカの検索は、東京・大阪・京都といった定番エリアだけにとどまりません。札幌をはじめとする地方都市への周遊や、タクシー配車アプリを使った移動手段の検索も増えています。移動の自由度が上がるほど、行き先の候補は「事前に決めていた場所」から「現地で見つけた場所」へと広がりやすくなります。地方の店舗や観光施設ほど、旅ナカの検索結果に表示されているかどうかが来店機会を左右します。自店が韓国人観光客の現地検索でどう見えているか気になる方は、無料のNAVER検索診断で確認できます。
旅ナカ集客で店舗・観光地が直面する3つの課題
旅ナカの重要性が高まる一方、実際に外国人観光客を店舗や観光地へ呼び込もうとすると、多くの現場で共通する壁にぶつかります。ここでは代表的な3つの課題を整理します。
現地の検索行動とズレて候補に入れていない
日本語の公式サイトやGoogleマップ対策だけでは、旅ナカで「今どこへ行くか」を探す訪日客の目に入らないことがあります。国や地域によって主に使う検索エンジンやSNSは異なり、韓国のようにGoogle以外のプラットフォームでの情報収集が主流な市場も存在します。自店がどのプラットフォームの検索結果に表示されているかを把握していなければ、候補にすら入れていないまま機会を逃している可能性があります。まず自店が現地の検索でどう見えているかを確認することが、対策の出発点になります。
多言語・キャッシュレスなど受け入れ環境の壁
検索結果で見つけてもらえても、店頭での対応が整っていなければ購入や滞在にはつながりません。2026年4〜6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆5,096億円、一人当たり旅行支出は24.4万円に上ります。2025年の費目別シェアは宿泊費36.6%、買物代27.0%、飲食費21.9%で、多言語メニューやキャッシュレス決済が整っていない店舗は、この消費の受け皿になれていない可能性があります。設備投資は簡単ではありませんが、多言語表示や決済手段の見直しは比較的着手しやすい対策です。
効果測定ができず打ち手を改善できない
SNS投稿や多言語対応を始めても、どの施策が実際の来店・購入につながったかを追えていないケースは少なくありません。効果測定の仕組みがないと、成果の出ている施策と出ていない施策の区別がつかず、限られた予算や工数を投じ続ける判断が難しくなります。旅ナカ施策は打ちっぱなしにせず、検索での見え方や反応を定点で確認しながら改善する運用が欠かせません。


