結論から言うと、NAVER広告は日本語のまま出稿しても韓国人観光客には届きにくく、検索行動や表現の違いを踏まえた設計が欠かせません。韓国では検索エンジンとしてのGoogle利用も一定数ありますが、NAVERはブログ・カフェ・ショッピングまで包括するポータルとして、旅行の情報収集・比較検討の入り口になっている点が特徴です。本記事では、パワーリンクなどNAVER広告の種類と特徴、アカウント開設から配信開始までの手続き、運用で成果を出すための最適化ポイントまで、はじめて韓国リスティング広告に取り組む担当者向けに整理して解説します。
韓国国内の検索エンジンシェアを見ると、StatCounter GlobalStats「検索エンジン市場シェア(韓国)」(2026年7月)ではGoogleが49.54%、Naverが40.9%となっており、数値上はGoogleがやや優勢です。
- Google: 49.54%
- Naver: 40.9%
(2026年7月・StatCounter GlobalStats「検索エンジン市場シェア(韓国)」)
ただしこの数値はブラウザ経由の検索行動の集計であり、韓国ユーザーが検索エンジンを介さずnaver.comへ直接アクセスする「ポータル利用」までは反映されにくいと指摘されることがあります。Naverはショッピング・ブログ・カフェ(コミュニティ)機能を内包した生活インフラとして使われており、検索エンジン単体のシェアだけでは測れない形で韓国人の情報収集・購買行動に組み込まれている点が、日本企業にとって見落とされがちなポイントです。
NAVER広告の種類と特徴|リスティング広告とディスプレイ広告の違い
一口に「NAVER広告」といっても、目的や表示位置が異なる複数のメニューが用意されています。検索直後に接触させたいのか、認知を広げたいのか、来店前の情報収集段階で発見してもらいたいのかによって、選ぶべき広告は変わります。まずは主要な3タイプの違いを押さえておきましょう。
検索連動型リスティング広告(パワーリンク)の仕組み
パワーリンク(Power Link)は、ユーザーがNAVERで特定のキーワードを検索した際に、検索結果の上部や右側に表示される検索連動型広告です。仕組みはGoogle広告のリスティングと近く、クリック課金制(CPC)で運用します。最大の特徴は、キーワードの一致方式が「完全一致」中心とされる点です。Googleのように部分一致やフレーズ一致で自動的に配信対象が広がっていく設計とは異なり、想定する検索語句をそのまま登録していく必要があります。そのため「梨泰院 맛집(レストラン)」のように、韓国人が実際に打ち込む表現・語順で登録できるかどうかが成果を左右します。日本語をそのまま直訳したキーワードでは、想定した検索語句と一致せず配信が広がらないケースが少なくありません。
ブランド検索広告・運用型ディスプレイ広告(GFA)との使い分け
ブランド検索広告は、店舗名やブランド名で検索されたときに、検索結果の最上部を画像や動画付きの広告枠として占有できるメニューです。すでに認知がある、あるいは来日前に指名検索されたいブランドに向いています。一方、GFAはNAVERが保有する検索・閲覧・購買データを活用した運用型ディスプレイ広告で、フィード面やニュース面などにバナーやネイティブ形式で配信されます。パワーリンクが「いま探している人」への接触だとすれば、ブランド検索広告は「知っている人の指名検索の受け皿」、GFAは「まだ探していない人への認知形成」という役割分担です。旅行の検討段階が浅い層にはGFA、比較・検討段階にはパワーリンクを厚くするなど、段階に応じた予算配分が基本になります。
NAVERブログ・カフェを組み合わせたコンテンツ配信
リスティング広告やディスプレイ広告は、出稿を止めた瞬間に露出も止まるフロー型の施策です。これに対してNAVERブログやカフェ(コミュニティ)への投稿は検索結果に記事として残り続けやすく、広告とは異なる資産性を持ちます(掲載の存続を保証するものではありません)。韓国人観光客の多くは、広告だけでなく実際に訪れた人のブログ記事やカフェの口コミを比較検討の材料にする傾向があります。広告で店舗の存在を知らせつつ、ブログやカフェで「行った人の声」を厚くしておくことで、来日前の検討段階での取りこぼしを減らせます。自店の場合どの組み合わせが適切かは、まず現状のNAVER上での露出状況を確認するところから判断しやすくなります。無料のNAVER検索診断では、こうした現状を実画面で確認できます。
NAVER広告の出し方|アカウント開設から配信開始までの手続き
NAVER広告は魅力的な媒体ですが、いざ始めようとすると「そもそもアカウントは作れるのか」「日本にいながら韓国語で入稿できるのか」といった手前の疑問でつまずく担当者が少なくありません。ここでは、アカウント開設の準備からキーワード設定、審査通過までの一連の流れを、日本企業がつまずきやすいポイントに絞って解説します。
アカウント開設に必要な準備(事業者番号・韓国拠点の有無)
NAVER広告のアカウント開設では、韓国国内の携帯電話番号による本人確認が求められるのが一般的です。法人として登録する場合は韓国の事業者番号の入力欄があり、個人事業主として登録する場合は携帯番号での認証のみで進められるケースがあるなど、事業形態によって求められる情報が異なります。
| 事業形態 | 主に求められる情報 | 日本企業が注意したい点 |
|---|---|---|
| 韓国法人 | 事業者番号・韓国国内住所 | 現地法人があれば自社名義での開設がしやすい |
| 韓国拠点のない日本法人 | 韓国の携帯番号・連絡先住所 | 携帯番号の確保がハードルになりやすい |
| 個人事業主扱い | 携帯番号認証 | 法人としての実績表示がしづらい場合がある |
韓国に拠点を持たない日本企業の場合、この「韓国国内の携帯番号」の確保がまず最初の壁になります。自社だけで対応が難しいと感じたら、現地対応に慣れた代理店を挟んで開設する方法もあります。まずは自社が韓国拠点ありなのか、法人・個人のどちらで進めるのかを整理しておくと、その後の手続きがスムーズです。
キーワード選定とリスティング広告の設定方法
アカウントが開設できたら、キャンペーン作成→広告グループ設定→キーワード登録→広告文作成→入札設定、という順に進めていきます。ここで日本企業がつまずきやすいのが、日本語のキーワードをそのまま韓国語に機械翻訳して登録してしまうケースです。韓国人が実際に検索窓に打ち込む言い回しは、直訳とは異なることが珍しくありません。
たとえば「日帰り温泉」を直訳した表現ではなく、韓国人観光客が実際に使う口語表現や略称で検索されているケースもあります。こうしたズレを避けるには、AIによる推定ではなく、NAVER検索広告システム上の実測データでボリュームや競合状況を確認しながらキーワードを組み立てる進め方が有効です。自店の業種でどのキーワードが検索されているか把握できていない場合は、無料のNAVER検索診断で現状のデータを確認してから設定に進む方法もあります。
審査から配信開始までの流れと必要日数
キーワードと広告文を登録すると、NAVER側での審査に進みます。広告文の表現やリンク先ページの内容がガイドラインに沿っているかが確認され、業種やコンテンツの状態によって審査にかかる日数は変わります。飲食・宿泊系の広告では、店舗情報や料金表示の整合性なども見られやすいため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めておくと安心です。
審査に通過すれば配信が始まりますが、開始直後は想定通りのキーワードで表示されているか、韓国語の広告文が意図通りに伝わっているかを早めに確認しておくことをおすすめします。アカウント開設から配信開始までを自社だけで進める工数が取りづらい場合は、サービス詳細で代行の範囲を確認いただくか、無料相談で自社の状況に合った進め方をご相談いただけます。
NAVERリスティング広告の運用で成果を出すための最適化ポイント
アカウント開設と入稿が完了しても、広告文をそのまま配信して終わりにすると費用対効果は伸びにくいです。NAVERはGoogleと配信ロジックが異なるため、最適化の勘所も別物と捉える必要があります。ここでは韓国人観光客向けの店舗集客に絞って、キーワード・広告文・ブログ露出の3点から具体的な調整ポイントを解説します。
完全一致中心のキーワード設計と入札の効率化
NAVERのパワーリンクは、登録したキーワードとユーザーの検索語句が完全一致した場合に広告が表示される仕組みです。Googleの部分一致のように類義語や語順違いまで自動で拾ってはくれません。そのため「新大久保 焼肉」だけでなく、スペースの有無や語順違い、韓国語表記のゆれ(省略形・外来語表記)まで洗い出して個別に登録する作業が欠かせません。登録漏れがあると、需要があっても広告が露出されないまま機会を逃します。
入札面では、いきなり多くのキーワードに広く配分するより、来店・予約に直結しやすいコアキーワードに予算を寄せ、掲載順位と品質指数を見ながら微調整する進め方が現実的です。反応の薄いキーワードは早めに絞り込み、無駄なクリック費用を抑えることが運用効率を左右します。
クリック率・コンバージョンを高める広告文と拡張素材の活用
広告文は日本語をそのまま翻訳するのではなく、韓国人ユーザーが検索時に何を知りたいかを起点に書き直す必要があります。営業時間や場所、予約可否など来店判断に直結する情報を見出しに含めると、クリック後の離脱を防ぎやすくなります。
あわせて活用したいのが拡張素材です。電話番号・地図・追加リンクなどを検索結果上に直接表示でき、店舗の業態によって効果的な組み合わせは変わります。
| 業態 | 相性の良い拡張素材 | 狙い |
|---|---|---|
| 飲食店 | 電話番号・地図 | その場での予約・来店動線の確保 |
| 宿泊施設 | 追加リンク(予約ページ) | 外部予約サイトへの直接誘導 |
| 商業施設 | 地図・追加リンク(フロア案内) | 来店前の情報収集の後押し |
複数パターンの広告文を並行配信し、反応の良いものへ寄せていく地道な調整が、コンバージョン改善の近道です。
NAVERブログでの検索露出を組み合わせる重要性
リスティング広告は配信を止めれば表示されなくなるフロー型の施策です。一方でNAVERブログの投稿は検索結果に残り続けるため、広告と並行して露出させることで検索結果全体における自社の占有面積を増やせます。広告とブログ投稿が同じキーワードで同時に表示されると、ユーザーの目に触れる回数が増え、店舗への信頼感にもつながりやすくなります。
自社でブログ投稿まで継続的に運用する工数が取りづらい場合は、サービス詳細で運用代行の範囲を確認いただくか、無料のNAVER検索診断で自店舗が現状どこまで露出できているかを確認してみてください。


