結論から言うと、韓国越境ECとは韓国のECモールやNAVERを窓口に、日本の商品を韓国の消費者へ直接販売する仕組みです。国内市場が頭打ちになりつつある中、円安を追い風にドルベースで拡大が続くと言われる韓国市場へ、日本企業の関心が高まっています。ただし韓国では検索エンジンのシェア構成が日本と大きく異なり、NAVERの存在感が大きいため、出店しただけでは現地消費者に見つけてもらいにくい構造があります。本記事では、市場規模の実態からNAVER特有の購買行動、事業規模別の出店方法、そして出店後の集客対策までを解説します。
韓国 越境ECとは?国内EC事業者が注目する市場規模とドル換算の成長
結論から言うと、韓国越境ECとは韓国のECモールやNAVERを窓口に、日本の商品を韓国の消費者へ直接販売する仕組みです。国内市場だけでは頭打ちになりつつある日本企業にとって、韓国はドルベースで拡大が続いていると言われる市場として注目されています。ここでは規模感と、日本企業が動き出している背景を整理します。
韓国EC市場の規模とドルベースで見る近年の成長率
韓国は人口こそ日本の半分以下ですが、インターネット利用率とキャッシュレス決済比率が高く、EC化率は世界的に見ても高水準にあると言われています。ドルベースで見た韓国のEC市場規模は、円ベースでの評価より為替変動の影響を受けにくく、海外の投資家や進出企業が市場を比較する際の指標として使われることが多いです。近年は物価上昇や越境ECの利用拡大を背景に、市場規模はドルベースでも拡大基調が続いていると言われています。ただし成長率は年によって振れ幅があるため、参入時期を検討する際は最新の統計を都度確認することが欠かせません。自社の商材が韓国でどの程度需要を見込めるかは、市場全体の規模感だけでなく、後述するカテゴリ別の動向まで踏まえて判断する必要があります。
円安・国内市場の頭打ちで日本企業が韓国越境ECに動く理由
日本企業が韓国越境ECに動く理由は、大きく2つに整理できます。1つ目は円安です。円安局面では、韓国の消費者から見て日本製品が相対的に割安に映りやすく、価格面での競争力を確保しやすくなります。2つ目は国内市場の頭打ちです。少子高齢化で国内需要の伸びが鈍化する中、新たな販路として、地理的に近く日本製品への関心が高い韓国に目を向ける企業が増えています。ただし韓国は、検索エンジンのシェア構成が日本と異なるなど、集客の前提が違う市場でもあります。出店しただけでは自社の商品が現地消費者の目に触れない、という構造上の壁については、次章以降で詳しく解説します。
韓国ECサイトの特徴|NAVER検索環境と独自のポイント制度
図: 韓国における検索エンジンシェア(出典: StatCounter GlobalStats(韓国 検索エンジンシェア))
韓国越境ECを難しく感じさせる最大の要因は、GoogleやAmazon経済圏を前提にした施策がそのまま通用しにくい点にあります。ここでは、検索エンジンの構造とポイント制度という、日本の事業者が見落としやすい2つの独自性を整理します。
検索エンジンのシェア構成が日本と異なるという現地事情
StatCounterの2026年7月データによると、韓国国内の検索エンジンシェアはGoogleが49.54%、NAVERが40.9%となっています。日本ではGoogleが9割以上を占めるため、韓国のこの拮抗した状況はイメージしにくいかもしれません。
つまり韓国では、検索経由の情報収集のうち4割超がNAVER上で完結しており、Google向けのSEO対策だけを整えても、消費者の半分近くには自社の情報が届かない可能性があるということです。NAVERはGoogleとは検索結果の表示ロジックやランキング要素が異なるため、韓国越境ECで集客を狙うなら、NAVER側の対策を別途検討する必要があります。自社サイトがNAVER上でどう表示されているか気になる方は、無料のNAVER検索診断で現状を確認できます。
個人ブログ・カフェの口コミが購買を左右する独自のポイント制度
NAVERには、ブログ投稿やレビュー、コミュニティ「NAVERカフェ」への書き込みなどを通じてポイントが貯まる仕組みが根付いています。この仕組みを背景に、韓国の消費者は購入を決める前に、公式サイトの情報だけでなく個人ブログやカフェの口コミを確認する行動が定着していると言われています。
日本のECでは公式サイトや大手モールのレビューが購買判断の中心になりやすい一方、韓国では個人の発信が意思決定に一定の影響を持つ構造がある点は押さえておきたいところです。自社ECサイトの整備だけを進めても、こうした個人の発信経路への露出がなければ、検討段階の消費者の目に触れにくいという構造上の課題が残ります。
中国・タイなど他のアジア越境EC市場との違い
同じアジアの越境EC市場でも、消費者が情報を集めるチャネルは国ごとに異なります。中国は独自のスーパーアプリ経済圏、タイはSNSとGoogleの併用が中心で、韓国はNAVERという検索エンジンが情報のハブになっている点に独自性があります。
| 市場 | 主要な情報収集チャネル | 越境EC事業者への示唆 |
|---|---|---|
| 中国 | 小紅書(RED)・WeChat・淘宝内検索 | 独自アプリ内でのアカウント運用やKOL活用が前提になる |
| タイ | Facebook・Instagram・TikTok・Google | SNS広告とGoogle向けSEO対策の両輪が必要になる |
| 韓国 | NAVER検索・NAVERブログ/カフェ | Google向け対策に加え、NAVER上での情報露出が欠かせない |
このように、韓国越境ECで成果を出すには「他国と同じ延長線上の施策」ではなく、NAVERという現地特有の情報環境に合わせた対策が必要になります。次章では、こうした環境の中で実際に人気を集めている商品ジャンルを見ていきます。
韓国で人気の商品ジャンルと売れる企業・商品の共通点
韓国越境ECで支持を集めやすいのは、食品・化粧品・日用品・生活雑貨など、日本製ならではの品質や安心感が評価されやすいジャンルです。とくに「日本製」であること自体が購買理由になりやすい点は、他国向け越境ECとの大きな違いといえます。ただし、良い商品を並べただけでは売れません。実際に成果を出している企業・商品には、ある共通点があります。
食品・化粧品から日用品まで幅広い韓国消費者の購買カテゴリ
韓国消費者が越境ECで購入する商品カテゴリは幅広く、菓子・調味料などの食品、スキンケア・ヘアケアなどの化粧品、キッチン用品や生活雑貨といった日用品まで多岐にわたります。共通しているのは「日本製=高品質」という信頼感を背景に、日常使いできる価格帯の商品が選ばれやすいことです。
一方で、同じジャンル・同水準の品質の商品であっても、売れる企業と売れない企業に分かれます。その分かれ目になりやすいのが、前章で触れたNAVERという検索環境で情報が見つかる状態になっているかどうかです。商品ページを整えるだけでなく、購入前の比較検討段階でNAVER上に情報が存在するかどうかが、実際の購買行動を左右します。


